この夜明けまで

「いいお坊っちゃんさな。警部さんならちと下情《かじょう》には通じて置くものですぜ、風教視察という奴でね。」とタゴールさん。「いや、つとめたいとは思いますがね。どうも。」と若いA君は、そこで赤くなって頭を掻いた。チラと眼鏡の下から大きな眼がはにかむところで、「そりゃあかん。」と扇子をパチリは右の三...

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白い支那服の白髯の和製タゴール老人

「型ばかりに囚われてはあがきがつかないということになるのですか。」「先ず、そうでしょうな。」 Iさんは吹いている。 白い支那服の白髯の和製タゴール老人が大きな眼鏡の片紐を垂らし垂らし、ゆうらりと歩いて来た。「やあ、来た来た、ロッペン団長。」と二、三人が手を拍《たた》いた。「あっはっはっ、つ...

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笛の音

 笛の音は中甲板《ちゅうかんぱん》の巨大な檣《マスト》の下、三本立った白茶に藍の開き耳の、これも大きな通風筒の向う蔭から響いて来る。「あれは誰ですか。」「Iさんです。あの頬髭のある。」「何を吹いているのです。」「羽衣でしょうか。」 そうだ、天人《てんにん》の五衰を吹いているのだ。現実の切な...

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